信夫梨花著『イギリスの首相に学ぶ! 反論の伝え方』

よんだほん

またまた図書館で借りてきて読みました。ものすごく面白くて最高な本です。
まず、文章がスムーズですらすら読めます。ウィットに富み、論理的で、かつ知性を感じられる文章で、嫌味も全くなく、読んでいて心地よいです。

さらに、イギリスのPMQ(Prime Minister’s Questions、首相質問)ってすごいなあって思いました。日本の政治も、ショート動画優勢の昨今ですが、PMQみたいなのがあると、もっと政治が身近に感じるのになと思いました。

よく、スピーチとか話し方とかの題材に政治家の答弁やスピーチが載ってますけど、PMQってすごいなと思いました。なぜ、私は反対勢力と会話するための本を読んで勉強しないといけないんだって思いますが、やっぱり仕事をするうえで、Noという力とか、交渉術とか、そういうのって大事だなと思って勉強しているところです。ウィットに聞いた返しができるとかっこいいなと思いました。

以下すごいなと思った点。

  • Honorable Gentleman, Honorable lady, honなどという敬称
    • →感想:「自負と偏見」とかで、Lady〇〇とかって出てきたが、Honolable Ladyは知らなかった。PMSの動画をみれば、ブリティッシュイングリッシュのリスニング勉強にもなるし、英語の勉強にも、慇懃無礼表現の勉強にも、反論の勉強にもなりそう笑
  • 枠組みを戻す
    • The honorable Gentleman does not have his facts quite right.
    • 物事には必ず良い面と悪い面があるので、野党が悪い面を言ったら、良い面を話す。「実際に何が起こっているか、私の口から教えて差し上げましょう」「彼の行ったことを訂正させてください」「思い出していただきたいのですが」「それは事実と少し違います」など。ある意味話を逸らす。
    • →感想:前にもブログで書いた枠組みを戻す理論に近しい。相手の土俵に乗らずに、自分の土俵の話をする。
  • キーワードを繰り返す
    • No No NoとかWeak weak weakとかgone, gone and goneみたいにキーワードを繰り返す
    • →感想:「伝え方が9割」にも同じことが書いてあった。繰り返すことは重要、と。
  • 冒頭に複数いるといいながら1つしか話さない
    • 理由は2つあります。1つはほにゃららといい、もう1つを話さない。
    • サッチャーが獲得したイギリスの負担金に対するEUからの返金を手放したことを批判されたブレアは、「やれやれ(苦笑)えっと、まずどうもありがとう」などと間をあけて空気を入れ替えてから、「私の経験から言わせてもらうと、政治の世界には3種類の人間がいます。1つは反動主義者です。イギリスの国旗を掲げてそこに座っているのに、あなたこそイギリスの国益なんて代表していないじゃないですか。今は2005年ですよ。ヨーロッパの国々は私たちのパートナーであり同僚であり未来なんです。分裂がなくなればそこにチャンスがあるのです」などと言った。目新しいことは言っていないが、相手のエネルギーが消えるのを待ち、独白のような語り掛けから入って、クライマックスにもっていく。「あなたは反動主義者ですね」などというと喧嘩っぽくなるので、客観的・一般的な話のように話し始める。反動主義者以外の2種類については触れない。
    • →感想:これはすごい。ブレアはすごい。相手の意見をまっすぐに受けずに、そらすと。そういうと、不誠実な感じもするが、まず間をあけて相手のエネルギーを蹴散らしてから、一般的な話をして、その後に自分の主張をする。ただ、やりすぎると不誠実な感じもする。すごいなあ、こういうことを私は全くできず、真正面から受けてしまうからダメなのかもしれない。
    • →感想:時々思うが、暇なときにヨーロッパやアメリカのニュースダイジェストなどを見ると、英語の勉強にもなるとともに、海外からのニュースの見方の勉強にもなりそう。
  • あなたには好感を抱いており、これからも成功を祈っています
    • 批判する前に、「あなたには好感を抱いていますし、これから申し上げることはあなたを侮辱するものではありません」「ブレア首相は私の生涯で最も成功した労働党党首であり、私はこれからも彼の成功を望んでいます。この危機を利用して彼を首相の座から下ろそうなどと言う考えに私は全く共感しません」などという。
    • →感想:これは本当に大事だと思う。全く悪意があるわけじゃなくて、ただ話しているだけというのを最初に言うのは、ものすごく効果的だと思う。
  • おわかりになっていただけると思いますが
    • ソフトに「あなたならきっと、お分かりになっていただけると思いますが」「当然わかっていただけると思いますが」「わかってるでしょ」などという。
    • →感想:これはめちゃくちゃ効果的だと思う。すごい技法だ。
  • 色々とお話いただいているうちに混乱してしまいました。要点にまとめていただくと、どのようなことになるのでしょう
    • →感想:これも効果的。すごい技法だ。話し方について悩んでいる人は私だけじゃないので、昔からいろんな話し方のテクニックがあったのだなと思った。
  • 何もおっしゃらないということは、あなたはこうなんですね
    • 本来意見を言うべき人が無口になったら、おそらく口出しすることで自分の立場が危うくなることを意識していると思って間違いないでしょう
    • →感想:これは真理だろう。「口出しすることで自分の立場が危うくなることを意識している」、絶対そうだ。そんな人に邪魔されるこっちの身にもなってほしい。自己保身しか考えず、周りに迷惑をかけるのはやめてほしい。オプトアウト方式で乗り切りたい。
  • I do not believe he believes a word of that.
    • 保守党政策による混乱を批判されたサッチャーの返答。「あなたは常に国民の良き代弁者であり、どのように総括いただいても結構ですが、あなたがお話になったことを貴方ご自身が信じておられるとは私には到底信じられません」
    • 議員からの避難や攻撃を首相がいかに冷静にかわすことができるか、悪い雰囲気を素早く切替えいかにその場を安定させることができるかが首相の力量の見せどころでPMQのだいご味。
    • →感想:これはすごすぎる!!!まさに感嘆!ただ、私が使う場面はなさそうではあるが。これを言っちゃうとかなり相手に失礼な感じになってしまうので。。。私、論理的な返答ばかり考えて生きてきたけど、論理的でない返しも重要なんだなと思った。
    • →感想:全然関係ない話になりますが、私、LAST CALL#007(YouTube)を見て感じました。口論をしかけられているときに、それにそのまま乗って、受けた攻撃に反論するのではなく、相手の土俵に乗らずに、相手の攻撃に返答せずに自分の攻撃を繰り出した方が、口論に勝ちやすいような気もしました。口論のやり方というかディベートのやり方を基礎でもかじると、わかるのかもしれません。まあでも、仕事上の話し方の勉強のためにディベートのやり方までは勉強しなくていいかなあ。とりあえずハーバード交渉術とかを読み終えたら、次はPricing Strategyとかの勉強に入ろうかなと思ってます。
  • あなたから教えていただく必要はありません、あなたの説教は聞きません
    • これ以上聞きたくありません
    • これが言えたらどんなにすっきりするか。120%そう思っている場合でも、社会的文脈上なかなかこれが言えない場面が多い。いわゆる釈迦に説法状態の釈迦側の場合など、こういいたいのですが笑 まあお釈迦さまならそんなこと思いもしないのかな。
  • もっと数学にお強いと思ってましたわ
    • あなたにはもっと期待していたのですが
    • 首相はほとんどすべてのことにおいて正しいと思いますが、たった一つだけお間違いになっていらっしゃることがあります
    • あなたな常に正しい方だと思いますよ、ただ
    • さすがイギリスという感じの慇懃無礼。なかなかこれが言える場面は、ビジネス場面だと少ない気が。
  • いかなる苦情も通常通り処理いたします
    • パワハラのうわさなどを聞かれたときにこう答えたブラウン首相。
    • はぐらかして答えないか、目には目をで相手の質問には答えず相手の弱みを列挙して問うなど。公開討論では相手から示された汚点について釈明したり反論したりすることに時間を費やすよりも、相手の汚点を並べる方が得策であることをイギリスの政治家はよく知っているとのこと。
    • ビジネス場面で当てはめると、相手が論点を意図的にずらしてきたときに、表面的な対応に終始し、逆に相手に問い直すなどしてもいいかもしれない。
  • やりたくてもできないのなら、一体どうすればいいでしょう
    • ビジネス場面で考えてみると、「あなたのご支援をしたい。ただ、その期間ではやりたくてもやれない。」というといいのかもしれません。

形式的な質問と回答を繰り返すだけでは、議論をしたとはいえない。ディベートが必要なのです。質問する側は相手を弁論で追い詰めていく戦略が必要であり、答える側もただ答えるだけでなく、質問する側の矛盾や問題点を暴くべきなのです。そうすることによって、議論というものは深まっていく。

筆者あとがきにすごい良い文章がありました。難癖をつけられたような場面では、ただ答えるだけでなく、質問する側の矛盾や問題点を暴くような返答をしたいと思いました笑

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