個人情報保護法2026年改正についてYouTube動画を公開しました。今後も2026年改正について動画をUPしていく予定です。試行錯誤中なので、動画構成・見栄えが多々変わることがありますが、ご容赦ください。
今回は、AI開発・統計作成です。
個人情報保護法2026年改正、何が変わるのか。 今回の動画では、改正の全体像を整理したうえで、特に注目度の高い AI活用・統計作成に関する規制緩和を解説します。
• 現行法では何が難しかったのか
• 匿名加工・学術研究・共同利用の限界はどこか
• 改正でAI学習・統計作成はどこまでしやすくなるのか
といった点を、法律実務の視点から整理しています。
「AI開発に個人情報を使えるのか?」
「統計情報なら本当に安全なのか?」
「企業は何をやるべきか?」
そんな疑問を持つ方に、まず押さえていただきたい内容です。 企業の法務・コンプライアンス担当者、個人情報保護実務に関わる方、AI・データ活用に関心のある方はぜひご覧ください。 ________________________________________
タイムライン(AI解説Part1)
00:00 オープニング
01:23 改正の全体像:規制緩和と規制強化
05:20 統計情報とは何か
08:13 現行法でAI学習を行う際の課題
09:12 匿名化の難しさとデータ価値の低下
11:05 学術研究での活用
12:05 共同利用での活用と注意点
13:40 公開情報・要配慮個人情報の論点
14:58 規制緩和の条件① 統計情報等の作成にのみ利用されること
17:34 規制緩和の条件② 一定事項の公表
18:36 規制緩和の条件③ 提供元・提供先の書面合意
22:08 まとめ
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AI統計特例とは(個人情報保護法2026年改正)
個人情報保護法2026年改正は「統計作成等目的」に限定して規制緩和を導入しつつ、課徴金制度創設により、悪用を防止する制度設計である。
企業・自治体の担当者にとっては、以下の実務的メリットがある。
- AI学習用の個人情報の提供の法的根拠の整理
- 既存データの活用可能性
- 統計作成・分析業務の制度的後押し
なお、公表義務・書面合意等の要件を満たす必要がある。
個人情報保護法2026年改正の全体像
改正の基本構造:規制緩和と規制強化
本改正は次の二軸で整理される。
- 規制緩和:データ活用・AI活用等の促進
- 規制強化:個人情報保護水準の引上げ(時代や情勢に応じた規制強化)
個人情報保護法自体が、同法1条で「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的」として掲げており、また産業政策的にデータ活用は現代の情勢上きわめて重要な論点であり、これらのことから規制緩和と規制強化の二軸の改正がなされたと整理できる。
AI活用と統計情報の関係整理
統計情報とは何か
統計情報とは、複数データの集約により特定個人を識別できない情報である。
例:
- 年代別平均年収
- 性別別平均体重
重要なポイントは以下である。
- 個人単位ではない
- 個人識別が不可能である
- 個人情報と概念的に対極に位置する
統計情報に該当しないケース
以下の場合は統計情報と評価されない。
- データから個人が推定可能
- 属性組合せにより特定の個人が識別される
例:
- 特定部署・年次・性別の組み合わせだと1人しか存在しない場合
この場合、形式的に集計情報でも個人情報として扱われる。
AI学習における個人情報利用の従来の課題
1. 同意取得の困難性
- 既存データ利用では全件同意が困難な場合も
2. 匿名加工の限界
匿名加工には以下の課題がある。
- 特異データの除去が必要
- →そうすると、機械的処理になじまず、一件ごとの精査が必要
大量データ処理との相性が悪い。
希少値が重要な場合などにデータ価値が低下する。
3. 学術研究例外の制約
- 利用主体が限定される(大学等)
4. 共同利用のリスク
- 適法性判断が複雑
- 利用目的との関係整理が必要
- 契約設計が不可欠
5. 公開情報取得の不確実性
- SNS・公開情報の扱いが不明確
- 要配慮個人情報の扱いにリスク
2026年改正:AI活用における規制緩和の要件
要件1:統計作成等目的の担保
- 傾向分析
- パターン認識
- 集団的推論
に該当するAI開発である必要があるか?詳細は委員会規則・ガイドライン待ち。
要件2:公表義務
以下の情報などを公表する必要がある。
- 提供元・提供先の名称
- 行おうとする統計作成等の内容
プライバシーポリシーでの公表が想定される。
要件3:提供元・提供先間の合意
- AI統計特例によるものであることの合意
要件4:目的外利用・第三者提供の禁止
- 目的外利用禁止
- 第三者提供禁止
公開された要配慮個人情報の扱い
公開情報の取得
条件:
- 公開されている情報に限定
- 非公開情報は対象外
留意点
- 統計作成等目的
- 公表義務あり
- 目的外利用禁止
実務上の重要論点
1. 提供先名称の公表問題
企業実務では重大な論点である。
理由:
- 取引関係が機密情報となる場合が多い
- 事業連携が外部に露出する
2. 統計作成等目的該当性の判断
基準が未確定の部分があり、
- 自社のプロジェクトが統計作成等目的に該当するか
- 自社が個人情報を提供できる根拠となるか
などについて慎重な検討が必要である。
AI統計特例 Q&A
Q1. AI学習であれば自由に個人情報を使えるのか
A. できない。統計作成等目的に限定される。
Q2. 社内データをそのまま使えるのか
A. 条件次第で可能だが、公表義務・合意などが必要である。
Q3. 匿名加工は不要になるのか
A. 委員会規則次第である。もっともリスクヘッジとしては生情報のままよりも、できる限りの加工を行った方が当然適切である。
Q4. SNSデータを自由に学習できるのか
A. 公開情報に限り一定条件で可能。
AI統計特例 まとめ
企業・自治体としては以下などの対応が必要である。
- 統計作成等目的該当性の評価体制構築
- プライバシーポリシーの整備
- 契約スキームの見直し
今後、詳細情報の公表により実務要件はさらに明確化される見込みである。継続的なアップデート対応が求められる。
個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しについて」より

AI統計特例 Part2
本動画は、改正法案公表前に撮影した。
改正法案公表後に、所感に変化が生じ、別動画も撮影しているので、ぜひご覧いただきたい。
執筆者プロフィール
弁護士 水町雅子(第二東京弁護士会、宮内・水町IT法律事務所所属)
SE(ITシステム開発)、コンサルティング等をシンクタンクにて行った後、弁護士登録。内閣官房・特定個人情報保護委員会にてマイナンバーの制度設計、ガイドライン作成、PIA制度化等を行う。
個人情報・ITに関して、首相官邸パーソナルデータに関する検討会参考人、内閣府「マイナンバーの利活用拡大のための検討タスクフォース」委員、こども家庭庁「こどもデータ連携の取組に関する検討会」委員、厚生労働省ITシステム等技術審査委員、東京都東京デジタルサービス会議構成員、東京都足立区情報公開・個人情報保護審議会委員、つくば市プライバシー影響評価制度検討懇話会委員、総務省・経産省・AMED実証事業等の支援等、実績豊富。
マイナンバー、個人情報、AI、医療情報、IT法務、企業法務、行政法務等に対応。書籍・論文執筆・講演のほか、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、雑誌、TV等メディアコメント多数。

